引率もフル出動ボランティア
23日は、当初から参加可能な学生ボランティアが少なく、中止することも考えていました。何とか数名は確保できそうだということで、実施に踏み切りました。
しかしながら実際に集まった学生は、連絡の不正確さも手伝って、初参加の学類生1名、2回目の大学院生1名の2名のみ。参加した子どもたちの方は7名で(1歳と5歳の子ども、1年生、3年生、6年生と幅があるために)、結果的には、引率教員の栗原、新聞社の取材で急遽参加することになった三浦、そして学生時代にセツルメントをやっていたという新聞記者のTさんも含めて、フル出動で学習支援を行うこととなりました。
「私は月曜日と木曜日は宿題をしないで待っている!」という3年生の女の子が、ボランティアの到着を待っていました。マンツーマンで学習支援が始まると、そこに数名の小学生と5歳、1歳の男の子も集まってきました。勉強熱心な2名も含めて、ボランティアと遊んでもらえるのを待ちわびていたようで、「宿題は終わったので遊ぼう!」といい、ボランティア学生の2名は学習と遊びの両刀使い、栗原は学習指導専門、三浦、Tさんはもっぱら遊び専門、と自然に役割分担が決まり、遊びと勉強が混在していても特に違和感もなく、楽しく活動が展開しました。
インチキ将棋、回り将棋、将棋倒し、将棋くずし、碁目並べ、将棋盤に碁石を並べてオセロゲーム、折り紙教室、ぬり絵、……と、勉強の傍らでいろいろな遊びが展開します。他の旅館から通ってきた6年生の一人は最後までずっと集中して勉強をしていましたが、後半はみんなで本気になって(?)遊びました。終了予定時間を過ぎても、子どもたちは次々と新しい遊びを要求して来るので、やむなく時間を区切り17:45に終了させました。
子どもたちは皆、これまでに来たボランティア学生たちのことをよく覚えていて、これだけでも学習支援ボランティアへの期待がとても大きいことがわかります。おそらく子どもたちは無意識のうちに「共感的他者」(自分たちのことをわかってくれる第三者)を求めているのだろうと思います。その意味からも、細く長い「つきあい」の必要性を感じます。
ただ、他の避難所では文具などの物資がだぶついているというのに、ここには遊び活動を展開するにも、色鉛筆や色紙すらなく、のりやセロテープ、自由に使える紙、オセロゲームぐらいは常備しておかなければならないのではないかと思いました。
また、誘ったもののついに来なかったパソコンコーナーに集まるゲーマー小・中学生も気になりました。ゲーム好きの学生を投入して、話し相手になるところから、彼らの世界に踏み込んでいくことも必要かと思います。
【学生の感想】
勉強や遊びは、学校や避難所の友達、家族とすることができ、テレビゲームであれば一人で遊ぶことができる。ボランティアとして私達にできることは、新しい刺激として遊びや勉強を通して子どもたちと会話や交流をし、楽しい時間を提供することだと思った。
小学1年生の女の子は、何かで遊びたい様子でぬり絵を始めたが、いつもやっているようですぐに飽きてしまっていた。折り紙やクレヨンでのスクラッチを提案すると、すぐに一緒にやり始めた。子どもたちは好奇心旺盛でいろいろなものに興味を示す。いろいろな遊びや学びを提案し、子どもたちの興味・関心を広げていきたいと感じた。
また、子どもたちは、自分たちの住んでいた小高の花火大会や、美味しいお店の話、前の学校での話しをしていた時が一番生き生きとしているように感じた。今の生活をどのように捉えているのかは分からなかったが、「前の生活は楽しかった」という思いが少なからず感じられた。
子どもたちは、今の事、過去の事、これからのことを話すだけでも少しは自分の気持ちを整理することができるのではないかと思うので、勉強や学習の中で、子どもたちの話を聞く時間をできるだけ作っていきたいと思った。
学びの上でも遊びの上でも楽しい時間の提供をし、その中で子どもたちの話を沢山聞いていきたいと思った。
2011年6月23日