学校支援プロジェクト遊び支援通信 No.5

子どもたちが来ない 迎えに行こう

6月18日(土)に、あづま総合運動公園体育館に3回目の遊び支援に行ってきました。天気は晴れ、そして一時小雨。

体育館は、少しずつ人数が減っているせいか、空間が少しだけ広く感じました。それに、子どもをあまり見かけない。1時から幼児対象の講座がキッズルームであると聞いていたので、そちらに小学生たちも行っているのかと思いきや、そうではないらしい。学生が漏れ聞いたところでは、家族ででかけているのではないかということ。今日は、講座中止か?と頭をよぎりました。でも、前回の手作りおもちゃプレゼントの経験から、「来なかったら、こちらから迎えに行こう」と学生と話し合っていたので、どうにかしようと考え直しました。
そして、開始の1時半。やっぱり子どもは来ませんでした。「では、学生のみなさん、行商にいってください。子どもを見つけてきてください。」
5分もすると、1人、2人と小学生が学生に連れられて、あるいは、一人でやってきました。

学生ボランティア:6名

参加者:5名+α

いろいろと未知の事柄発生。そして「けが」も。

■内容

13時半過ぎから始まった。何とか子どもたちを5~6名確保して、竹とんぼ作りが始まる。しかし低学年と中学年の女の子。どの子もカッターナイフを使えないか、使い方がおぼつかない。急遽、木工やすりで削ることにした。

20分もすれば、完成。昨日、お母さんと避難してきた新参者の小学生1年生のA君は、家族のも含めて5つつくると言い始める。削ったのは、1つだった2つ。後は、作り置きのものをプレゼント。今回は、この子が「主役」になる。

2時を回ったところで、大方の子どもたちが作り終え、飛ばすことに。

学習スペースが1階に移動していたがために、広場まではすぐ。学生といっしょに飛ばし始めました。小雨が降っていたので、屋根のある場所で飛ばしました。ここから今までに起こらなかった事がたくさん起こりました。

一つは、外国の若者3人が近寄ってきました。一人は女性。彼女は、何を飛ばしているのかに興味をもって、日本語で学生に聞いてきました。「竹トンボ」「タケコプター」・・・。

二つ目は、通りがかりの大人のおじさんが、俺が飛ばしてやろうという感じで、誰かの竹トンボを借りて、一度飛ばしました。見ていると、もっと飛ばしたい様子でしたが、去っていきました。

3つめは、作るときに参加していなかった、中学生と高校生がやってきた、中学生が「僕にもください。」と来て、飛ばし始めました。3時前ぐらいまで、夢中になって飛ばしました。

未知の事柄はまだ終わりませんでした。

3時前に、学習スペースに戻ると、高校生3人(赤十字奉仕団?)が、中学生1人にいて、中学生が地理の勉強をしていました。

3時ぐらいから、割り箸でっぽうをプレゼントし、やり始めましたが、一人、一人と帰っていき、小学生も2人なりました。さきほどのA君と4年生のBちゃん(女子)でした。

ひとしきり遊んだ後、中学生の彼が割り箸でっぽうに参入してきました。

そして、3時半を迎え、帰ろうとしたときに事件が起こりました。

一つは、A君が「帰っちゃいやだ」と男子学生にしがみつき、泣き始めたのです。お母さんのところに連れて行くにも、お母さんはお出かけ中だとA君。2人の学生が後ろ髪を引かれながら、振り払ったのでした。しかし、A君は、小雨の降る広場で泣きながら立ちすくんでおりました。

それと同時並行に、もう一つの事件が起きていました。学生に肩車されたBちゃんが、体育館の玄関で頭を打ち、頭をタオルでひやしているではありませんか。学生がしょんぼりとしていました。保護者(父親)がいらしたので、一度謝罪をしました。しかし、車に戻り、帰り支度をしていたとき、不安がよぎりました。「けががひどかったら大変だ。保護者にもう一度謝罪しておこう」。体育館に戻り、少しすると、保護者を見つけることができ、「何かあったときのために」と名刺を渡しながら、学生から聞いた情報を再度、保護者に話し、納得していただきました。

そして、帰ろうと体育館の外に出たときに、さきほどのA君を見かけたのです。「ごめんね、また今度くるから、そのときいっしょに遊ぼう。学生もお仕事があるから、帰らなくてはならない」と一通りのことを話し、手を引きながら、学習スペースに戻り、慰めながら、駐車車まで帰ってきました。

なんと、さまざまな事が起こった遊び支援だっただろう。こんな事も珍しいと学生に話しながら、体育館を後にしました。

【学生の感想】

今回が私にとって初めてのボランティア活動でした。簡単にではありますが感想を2点、報告させていただきます。

1点目は子どもとの関わりについてです。具体的には竹とんぼ作りをしているときに私は子どもとどのような話をすればいいのかわかりませんでした。竹とんぼ作りは繊細かつ手間のかかるものです。子どもの様子を見ながら交代で作業を進める中で、私は子どもを被災者として見てしまい、どこまで突っ込んだ質問や話をしたら子どもが傷付けてしまうかということばかり考えてしまいました。今振りかえるとそれは自分が勝手に子どもに対して壁を作ってしまったのだと思います。もっと自然に気楽に話しかけ関われば良かったなというのが今日の大きな反省です。

2点目は子どもの抱える気持ちについてです。私が初めて関わったある子は昨日この避難所に来たばかりということでした。友達もまだいないという状態でしたが、竹とんぼにすごく熱中し5個作るんだと張り切って遊んでくれました。個人的には作業を一緒にしているときに「別の人が良い。」と本音をぶつけられ、僕はちょっと落胆しました。
でも楽しく遊ぶその子や別の子どもの姿、それを見て笑顔になる周りの人の姿をみて、今日は来て良かったなと心から思えました。

そして予定の時間になり僕達が帰ろうとしたときに、例のある子が僕の前に立ちはだかりました。
その子は雨が降っていることや私が先生や他の学生に取り残されていることなど関係なしに、必死に僕の行く手をはばみました。そのときに彼が言った言葉が僕の心に強く残ってます。

(また来るって言っても)
「約束を破る。もう来ない。」
「僕には友達がいないんだ。(頑張って作りなよって言っても)できない。」

その言葉を聞いたときに、その子が他の子ども達が仲良く話しているのを眺めていたり、竹とんぼを上手くキャッチ出来たときに学生一人一人に「キャッチできた!」と嬉しそうに言っていたことが思い出されました。まだ一年生の彼は当然友達も欲しいし、学生に認めてもらいたいという気持ちが強かったのだと思います。そんなことを考えると、僕は力ずくで彼を振り切ることはできませんでした。最後は他の学生と先生の協力のおかげでなんとか説得できた(?)みたいですが、この経験から多くの環境の変化を前に子どもがどのような気持ちで毎日を過ごしているか考えさせられました。

避難所での生活はまだまだ子どもには困難が多く、僕たちが想像できないような気持ちを抱えているのだと思います。
 今回のボランティアで、震災後初めて避難所や被災者の方の現状を知ることが出来ました。この経験を是非これからの学生生活、教師生活に活かしていきたいです。

このような貴重な機会を与えてくださりありがとうございました。

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