飯坂温泉学習支援(7月29日)報告

学生一人に子ども一人……

今日は、今学期最後の飯坂温泉でのボランティアだった。

今後継続するか否かの決定は、まだなされていないが、今後このような形で会うことはできないかもしれないと思うとさみしさもあり、今日はいままで携わったなるべく多くの子どもたちと時間を共有したいと思って臨んだ。

学生は私一人だった。旅館に着くと、いつもはロビーに子どもたちの声があふれていたが、今日はやけに静かだった。

時間には集まった子どもは今日は1人だった。結局、待っては見たが今日の参加者は最後までその子一人だけだった。

参加してくれたWちゃんは常連さんで、黙々と一人でも勉強ができる子だった。
前々回の感想にも書いたが、はじめは勉強を自分のペースでできないことや、助言を受けることがかえってこの子にはマイナスになるような気がして、はじめはどうかかわればいいかわからなかった。

今日は、この子一人とい1時間半向き合うチャンスだった。Wちゃんの学習のペースを大切にしながらも、声掛けをしてどんなことを考えながら問題を解いているのかを、言葉にして説明してもらったり、間違いを復習しながら、ポイントを示すなどの工夫をし「夏休みの友」を進めていった。

できるのとわかるのは違う。形式的にできても、理解しているかは見えないこともあるから、Wちゃんの学習の妨げにならないように確認しな がら進めた。

45分くらいたつとWちゃんは学習セットをしまいだした。今日で最後なのに…とおもうと少しあっけない学習支援の終わりだった。もう自分ができることはないんだと思うとやはり少し悲しくなった。

しかし、そのあと鞄から「ポケモンの映画観てきたんだ」とパンフレットやグッズの数々を出して見せてくれた。いままで、いろんな話をしてきたけど、こんなに生き生きしてるWちゃんを見たのは初めてだった。その様子を見て、映画を見てきたことが本当に楽しかったんだということが伝わってきたし、それについてたくさん話を聞かせてほしいし、話をしたいと思った。

勉強をしているときは本当に真剣でまっすぐな目をしているWちゃんが、子どもらしい一面を見せてくれたことがとてもうれしかった。

Wちゃんとお話で盛り上がっていると、以前南体育館に松川の避難所にいたという、高校一年生Oくんがやってきた。
Oくんは、以前の避難所にいたときに仲良くなった福大生のボランティアが来てくれることをずっと心待ちにしていたようだった。

彼は、学生との思い出をとても優しい表情で話してくれた。ここまで、人と人のつながりが深くなるということ、そしてその人の心の中に残ること、それはとてもすごいことだと感じた。彼は、「一緒に遊んでくれた」という言葉を何回も繰り返した。

その当時は、いまののうに大学の学生ボランティア組織は正式に立ち上がっていなかった。本当に、始まったばかりの震災からまだ日が浅い時だった。前例も経験もなかで、年齢を超えてこのように関係が生まれて いって、現在も学生の存在が少年の支えになっていることは間違いなかった。

少年に今日が最後になるかもしれないということを知らせると、すごく残念そうな顔をして「逢いたいな…」と小さくつぶやいた。それを聞いて、なんだかとても苦しくなった。

この子に最後に福大生として何もできずに終わるのかな…という思いがわいてきた。

そして、私自身もここで出会ったたくさんの子どもたちに、元気や優しさやいろいろなものをもらってきた。だから、子どもたちと最後に会えなかったことが、少し心残りだったが、このボランティアを通して学んだことを、これからの自分にしっかりいかしていきたい。

今後、8月末に避難所の閉鎖は延ばされたようだが、この夏休みを機に引越しをした子や、家族で県外にリフレッシュしに出かけている子なども多くいということからも、現在進行形で子どもたちの生活は大きく変化しているように感じた。

子どもたちがどこに行っても、明るい笑顔であるように願いながら今日のボランティアを終えた。

今後、このままの形で学習支援を続けることは難しいと思う。

子どもが実際にいなくなっているということもあるが、参加してくれる子は固定されていて、新たに来る子をのぞむことはできないのではと感じる。
このまま学習支援を続けるとしても、場所や時間など形態を考えて子どものニーズに応えていくことが大切だということが課題であると思う。

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