「ぜーんぶ、楽しかった!」
ビッグパレットふくしまの避難者も,おそらく200人近くまで減ってきたのだろうと思う。
前回7月16日の子ども祭・17日の盆踊りで、私たちのボランティアもグランドフィナーレとするつもりだったのだが、肝心の「子ども支援ボランティア」としては、不完全燃焼気味であることに気がついた。
思えば、3ヶ月前、6人ほどの学生で視察にいったら12人もの子どもたちに勉強を教えることとなりまさに「学習支援ボランティア」として始まったのであるが、その後子どもたちの数が急減し、2週間ほどは1人のガリ勉の中学生を4人ほどで見る(見ているだけ)という、理不尽な状態が続き、学習支援を休止せざるを得なくなった。
その後、とにかく子どもたちを誘い出さなくてはと、餅つきを行ったり、子ども祭に参加したりと、楽しくもあるが、実は悪戦苦闘の日々でもあった。
やはり最後は初志を貫徹し、「子ども支援ボランティア」で有終の美を飾りたいと思い、急遽「楽器づくりワークショップ」のボランティアを無理矢理入れたのである。ボランティアセンター近くには、富岡町の児童館が既に稼働しており、そこでビラを配っていただけることになったので、子どもたちは何とかなるかな、という希望的観測もあった。
紙コップやストロー、ゴム風船、そしてマーブルチョコレートのつつなど、身近なもので、音の出るしくみをつくるという、子育て支援の授業で行っているもので、楽しくできることは折り紙付き、子どもがいれば、ではあるが。
ボランティアはここのところ郡山に来てくれていた学生や院生に声をかけたところ、11人も名乗りを上げてくれ、さらには双葉高校の先生も加わっていただけることとなった。仮に子どもが集まってくれなくても、ボランティアの数だけで賑やかさは演出できるのではないかという思惑もあった。
当日は、後の学生のレポートにもあるように、本当に館内はひっそりしていて、一時の賑やかさを思い起こせば寂しくなるほどの静けさだった。学生たちがマーブルチョコレートで子どもたちを集め、2歳の女の子をはじめ8人の子どもたちがそろい、ワークショップが始まった。
本当は学生たちに仕切らせようと思っていたのであるが、前日の打ち合わせには2名しか参加できず、こうなったら、子どもと一緒にボランティアも作るというシチュエーションで進めようと考えた。
子どもたちは皆物資の調達に来た保護者といっしょで、保護者の用が済めば子どもたちも途中で帰ってしまう。それでも、ボランティアの学生もおそらく楽しんだのであろう、その楽しさが子どもたちにも十分に伝わったようで、最後まで参加してくれた子どもたちもとても楽しそうであった。
終わって帰る子どもたちに、
「ねえねえ、楽しかった?」と尋ねると、
「楽しかったー!」と返事。
「何が一番楽しかった?」
「全部!」と、とても満足げに帰って行く。
ボランティアセンターの「おだがいさまセンター」の取材もはじめて受けることになる。一番地味なのが一番受けたという複雑な心境。
まさにボランティア冥利に尽きるというものである。かくして、子ども支援ボランティアとして、約15回のビッグパレットふくしまでのボランティア活動は区切りをつけることとなった。
この間参加してくれた延べ90名のボランティアに感謝したい。特に、就職活動の渦中にあって、自分の進路も顧みずに「子どもたちの笑顔が見たいから」という理由だけで、ボランティア活動に参加してくれた4年生には心を打たれた。心から感謝したい。
【学生の感想から】
ビックパレットについてすぐ、こどもたちやが家族で大きなバスに乗り込んでいく現場に遭遇し、こどもがどれだけいてくれているかがとても不安になった。
施設内の通路も閑散とし、静けさすら感じた。明らかに避難されている人は減っていると感じた。
こどもたちは学生が声をかけて周り、8人くらい集まった。材料のマーブルチョコレートの魅力がこどもたちの興味を駆り立てたのだろう。
学生もこどもと一緒に作っていきながら、年齢に合わせて自力でやらせることを考えながら支援しているように見えた。
学齢期にみたないこどもたちはとくに途中で集中が切れたようで、とちゅうで離脱してしまった。
やはり『できる』から面白いとか、楽しいとか感情がうまれて、学習や経験がより深いものになるようにかんじた。
最後まで残っていた女の子たちは、次のおもちゃに移るとき、『今度はなにつくるの??』『やったー!!〇個目だぁ!!』と好奇心をみなぎらせていた。
とても素敵な笑顔をしていた。
いままで、ここはおもちつきやお祭りの手伝いを行ってきた。今日来た何人かのなかにも、その時にいたこどもがいたこともがいて、うれしく想った。
今回、ボランティアを通して、たくさんの子どもと様々な経験をすることが出来た。
その場のこどもの想いに寄り添うこと、そして私たちがやろうとすべきことを明確にもつこと、こどもを引き込むようなアクションを起こすことは、いずれもボランティアをするうえで大切なことだと感じた。
こどもたち、ご家族のかた、ほかのボランティアをなさっている方々そして、福島大学の先生方、学生のみなさんに感謝したい。
帰り際ボランティアスタッフの方に、ビックパレットの裏に、こどもが学習したり、遊んだりできる児童施設が建設されたと伺った。
こどもたちがなんらかの目的をもち、集まる場所で活動するとしたら、このような場所が今後こどもの学びや経験の場として、中心的な役割を果たしていくのではないかと想った。
2011年7月30日